29.チェコ
1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について
電気通信法(法律第127/2005号) (Zákon o elektronických komunikacích)基づき、同第4条によりユーザーの保護及び適切な市場の機能保全のために各種規制が行われている。また、同112条にチェコ通信局(Zřizuje se Český telekomunikační úřad ČTÚ)はラジオ・テレビ放送評議会(Rada pro rozhlasové a televizní vysílání RRTV)と協力し、テレビ放送やラジオ放送の内容についての監督と監視を行うことが規定されている。なお、チェコはハンガリーと共に中央ヨーロッパ規制フォーラム(The Central European Regulatory Forum CERF)の設立メンバーであり、ポーランド、ルーマニア、セルビア、スロバキアと共に、中央ヨーロッパ地域のそれぞれのメディア規制当局と連携し規制を行っているほか、欧州連合諸国として欧州連合視聴覚メディアサービス指令(AVMSD)に準拠した規制を行っている。
なお、公共放送のチェコ・テレビについては、ラジオ・テレビ放送評議会(RRTV)の監督下にはなく、チェコ・テレビに関する国家評議会の法律に基づき設立された規制団体であるチェコ・テレビ評議会(Rada České televise RadaČT)が、番組計画や放送コードも含むテレビ放送全般の規制監督業務を実施している。
電気通信法(法律第127/2005号)(Zákon o elektronických komunikacích)の詳細は以下のリンクよりダウンロード
http://aplikace.mvcr.cz/sbirka-zakonu/ViewFile.aspx?type=c&id=4641
2. クロスメディアオーナーシップ等の報道機関の一定地域における情報提供の占有や支配に関する各種規制について
EU加盟後は、基本的にEU共通の諸制度に準拠する。チェコ独自の規制としては、2001年経済競争防止法(2001Economic Competition Protection Act)により、市場においてメディアは非支配的状況でなければならないとされており、具体的には市場占有率40%未満でなければならない。また、アナログ放送については全国放送テレビ及び全国ラジオ放送局1局につき1ライセンスのみ許可され、複数の放送事業を同時に所有することはできないこととされていた(2012年にディジタル放送に移行済)。また、地域のラジオ局の市場占有率は70%まで許容される。ディジタル放送については、全国放送テレビは1局、ラジオ放送局は2局まで所有可能であるが、クロスメディアオーナーシップそのものに関する所有制限自体は存在しない。
・外資規制等について
直接的に外資を制限する法制度は存在しない。
3. 電波オークション制度について
電気通信法(法律第127/2005号)第5条の無線周波数の効率的な管理と使用の原則、及び同第15条のEUと調和のとれた無線周波数スペクトル管理、同第16条に示される周波数利用計画及び国際条約等に基づき電波の管理が行われている。これらに伴い同第21条を根拠にチェコ通信局(ČTÚ) による電波オークションが実施されている。
オークションは、事前にチェコ通信局(ČTÚ) により入札条件が提示され、それに示されるサービス開始時期や設備投資、利用計画や技術的実現性、財政基盤等を考慮し入札審査が実施された後に入札を行う制度が執られている。
・オークション等実施例
・2013年に実施された800MHz帯(帯域幅合計60MHz)、1.8GHz帯(帯域幅合計49.6MHz)、2.6GHz帯(帯域幅合計190MHz) の電波オークションでは、1.8GHz帯及び2.6GHz帯の一部に未落札周波数が出たものの、いずれの帯域も3事業者により落札され、落札総額は8,529,500,000 Kč (約420{憲円)であった。
・2017年に実施された1.8GHz帯(帯域幅合計31.6MHz)、2.6GHz帯(帯域幅合計70MHz)の電波オークションは、2013年の同周波数帯オークションの未落札分の再オークションであり、3事業者により総額264,395,000Kč (約13億円)で落札された。
・2017年に実施された3.6GHz~3.8GHz帯(3.7GHz帯) (帯域幅合計200MHz) の電波オークションでは、4事業者により総額4,669,000,000Kč(約238億円)で落札された。
2013年実施の800MHz帯、1.8GHz帯、2.6GHz帯の電波オークションの詳細は下記のWebサイトを参照
2017年実施の1.8GHz帯、2.6GHz帯の電波オークションの詳細は下記のWebサイトを参照
2017年実施の3.6GHz~3.8GHz帯の電波オークションの詳細は下記のWebサイトを参照
チェコのオークションに関する総合情報については下記のWebサイトを参照
https://www.ctu.cz/vyberova-rizeni-pro-pridel-radiovych-kmitoctu
4. 電波使用料等について
電気通信法(法律第127/2005号)第24条に、無線周波数利用者に対する1年毎の無線周波数使用料の支払いが義務付けられており、無線周波数使用料は、占有する周波数帯やサービスエリアの広さ、無線装置の違いや無線通信サービスの内容等により行政規則に従い定められている。
放送免許はラジオ・テレビ放送評議会(RRTV)が管理しており、ラジオ放送は8年更新、テレビ放送は12年更新で免許が交付される。
陸上移動サービスは、1,000Kč~8,000,000 Kč (約5000円~約4070万円)固定サービスは、300 Kč~1,200,000 Kč(約1500円~約610万円)、ラジオ放送は375Kč~180, 000 Kč、テレビ放送は最大18,000,000Kč(約9200万円)となっている。
5. その他資料等
・監査機関等
テレビ放送及びラジオ放送等の放送内容に関する監視及び監督と、放送事業者に対する免許の付与や変更等の諸手続はラジオ・テレビ放送評議会(RRTV)が行い、周波数割当や電波利用状況の監視と調整及びオークション等はチェコ通信局(ČTÚ) が行う。
(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)
※参考 中央ヨーロッパ規制フォーラム(The Central European Regulatory Forum CERF)
世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 38
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