23.サウジアラビア
1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について
サウジアラビアの統治制度は絶対王政であり、また、サウジアラビアの法制度はイスラーム法を法源としており、法源としてのサウジアラビア基本法は存在するものの、欧米諸国等の憲法とは基本的に性質が異なる。
基本的に反イスラーム的な内容は例外無く広く違法であり、報道機関を含むあらゆる表現においてもこれが適用されている。また、基本的に報道機関等は検閲を受け管理されており、違反行為に対し勧善懲悪委員会的(Committeefor the Promotion of Virtue and the Prevention of Vice CPVPV)による懲罰が加えられる体制が長く続いていたが、2015年のサルマーン国王即位以後、ムハンマド・ビン・サルマーン(Mu加mmadbin Salman Āl Sa‘ūd) 副皇太子兼第二副首相兼国防大臣)によりビジョン2030と呼ばれる経済改革制度が推し進められており、その改革に基づき経済開発評議会(Councilof Economic and Development Affairs CEDA) が新設され、これまでの特に西洋的な娯楽産業に対する厳しい取り締まりを行っていた政策を大きく転換し、娯楽産業振興と管理を行う娯楽庁が新設された。
なお、具体的な規制内容については、文化情報省(Ministry of culture and media) による報道機関規制で細かく明文化されている。
サウジアラビア基本法は下記のWebサイトを参照
https://www.shura.gov.sa/wps/wcm/connect/shuraarabic/internet/laws+and+regulations!t
he+basic+law+of+government/the+basic+law+of+government
ビジョン2030の詳細は以下のWebサイトを参照
http://vision2030.gov.sa/SVpdf_%20jp.pdf
文化情報省報道機関規制は下記のWebサイトを参照
https://www.moci.gov.sa/media/1/media/8268984176.pdf
文化情報省報道機関のシステムは以下のWebサイトを参照
https://www.moci.gov.sa/media/1/media/6239412492.pdf
2. クロスメディアオーナーシップ等の報道機関の一定地域における情報提供の占有や支配に関する各種規制について
事実上報道機関に対する検閲が存在するため、ビジョン2030による改革が進行中であるものの、根本的に情報提供は占有されていると考えられる(地上波は国営テレビ(SaudiTV)のみである)。
3. 電波オークション制度について
通信情報技術委員会(Communications and Information Technology Commission CITC)により電波オークションが行われている
・オークション等実施例
・2017年に行われた周波数700MHz帯の帯域幅50MHz及び1800MHz帯の帯域幅70MHz、免許期間15年のオークションでは、4通信事業者により総額6,010,556,000SAR(約1800億円)で落札された。なお、700MHz帯及び1800MHz帯の各々の帯域幅10MHz分は新規事業者用に割当て分である。
4. 電波使用料等について
電波使用料は、使用周波数及び使用帯域幅、その周波数帯の需要、利用都市、地理的要因等を考慮し算出される。
2015年度の電波使用料は総額20,936,819SAR(約6億3400万円)、ライセンス料は総額321,666SAR (約980万円)である。
アラビア暦1425年7月7日発行の電波使用料の詳細は下記のWebサイトを参照
通信情報技術委員会(CITC)年間レポート2015は下記のWebサイトを参照
http://www.citc.gov.sa/en/mediacenter/annualreport/Documents/PR_REP_012Eng.pdf
5. その他資料等
・監査機関等
情報通信関連の政策と法整備等を文化情報省(MOCI)が行い、周波数管理と情報通信関連事業の許認可等を通信情報技術委員会(CITC)が行う。放送内容等に関する事等は勧善懲悪委員会(CPVPV)が行っている。
(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)
世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 32
参考:アラビア語入り
コメントをお書きください