· 

世界主要国の電気通信に関する詳細情報 03

3. オーストラリア

 

1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について

 オーストラリア通信メディア庁(Australia Communication Media Authority ACMA) が、放送コンテンツの規制・監視を行っている。オーストラリアの地上商業放送事業者はオーストラリア制作コンテンツ基準(Australian Content Standard ACS) に従う必要がある。

 ACSの内容は放送フ。ログラム(コンテンツ)の国内制作比率やオーストラリアの市民またはオーストラリア永住者(この章でのオーストラリア人の定義)の比率その他様々な規定が定められている。

 ACSはオーストラリアの商業テレビの役割を促進すると共に、オーストラリアのアイデンティティ、多文化的多様性を重視し、オーストラリアの感覚を発展させ、反映させる放送サービスの実現を目指している。

 また、地域的特色を生かし、オーストラリアの文化とニュージーランドの文化を共に尊重し、オーストラリアのプログラムと共に、ニュージーランドまたはニュージーランド永住者(この章のニュージーランド人の定義)によるニュージーランドのプログラムが優先されている。

 オーストラリアのプログラムはオーストラリア人の創造的支配下で作られる必要がある。具体的にはプログラムの制作者がオーストラリア人であり、ディレクターがオーストラリア人であるか放送作家がオーストラリア人、かつ、声優を含む主要は俳優の50%以上がオーストラリア人であり、助演者の75%以上がオーストラリア人であることとオーストラリアで製作されたものである必要がある。アニメーションの場合はプロダクションデザイナー・キャラクターデザイナー・レイアウトアーテイスト監督・ストーリーボード監督・主要な背景アーテイストのうち少なくとも3つがオーストラリア人である必要がある。

 これらオーストラリアのプログラムは、最低放送時間やプライムタイム配置等が細かく指定されており、一定時間以上がオーストラリアのプログラムとなる必要があるほか、子供向け番組に於いても別に指定がなされている。

 

 オーストラリア制作コンテンツ基準(Australian Content Standard ACS)の詳細については以下のWebサイトを参照

 https://www.acma.gov.au/tv-and-radio-broadcasters

 

 

2. クロスメディアオーナーシップ等の報道機関の一定地域における情報提供の占有や支配に関する各種規制について

 通信芸術省(Departmentof Communications, Information Technology and the Arts DCITA)及び1992年放送サービス法(BroadcastingServices Act 1992) より、同一事業者がテレビ、ラジオ、新聞の兼業を禁止、その他単独で人口の75%以上をカバーする商用テレビ放送事業の禁止、人口でライセンスエリアが50%以上重複する商用テレビ放送事業と商用ラジオ事業の禁止、同一エリア内での複数の商用ラジオ事業の禁止等のメディア規制が行われている

 

 1992年放送サービス法(BroadcastingServicesA ct 1992)の詳細については以下のWebサイトを参照

 https://www.communications.gov.au/what-we-do/television/media/updating-australias-media-laws

 但し、これらについては、現在見直しが検討されている。

 

3. 電波オークション制度について

 オーストラリアの電波オークション制度は、ACMAの作成した周波数利用計画を元に、DCITAの協力の上で実施されている。なお電波利用状況等により、電波利用の独占状態を防ぐため一社が落札できる帯域に制限が課せられる場合がある。

 

・オークション実施例

 ・2 011年オークション(2.3GHz帯合計40ブロック(1ブロック帯域幅28MHz~35MHz)

  サービスエリアはオーストラリア中央部のみ)では、3つの通信事業業者により総計1,671,350AUD (約1億4千万円)で落札された。

 

 詳細については以下のWebサイトを参照

 http://www.acma.gov.au/theACMA/release-of-the-23-ghs-band-residual-lots

 

 ・2013年施のオークション(703-748MHz/758・803MHz/2500・2570MHz/ 2620・2690MHz)

  では、3つの通信事業業者により総額1,964,653,401AUD(約1700億円)で落札された。

 ※ 但し700MHz帯の30MHz帯域幅については未落札で終了した。

 

 詳細については以下のWebサイトを参照

 http://www.acma.gov.au/sitecore/content/Home/theACMA/About/The-ACMA-atory/Meeting-our-standard/digital-dividend-reallocation-of spectrum

 

 

4. 電波使用料等について

 オーストラリアの電波使用料は、ACMAにより周波数帯や帯域幅、電波使用状況や地理的重み付け等の電波運営に直接関わる様々な要因に加え、インフレ率やCPI (消費者物価指数)等を加味し1年ごとに算出されている。

 

5. その他資料等

・監査機関等

 オーストラリアの電波行政は、通信芸術省(DCITA) が通信・放送分野及びブロードバンド普及等の情報通信分野の政策立案や運営全般を担当し、通信メディア庁(ACMA) が規制及び監督を行っている。更に、市場における公正な競争等を行うため、オーストラリア競争消費者委員会(Australian Competition & Consumer Commission ACCC)が活動している。

 

(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)

世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 12