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2019年12月12日
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「日本のマスメディアの自虐趣味は病膏肓だな」
そもそも化石賞を出しているのは国際環境NGO団体である「気候ネットワーク」である。彼らの価値判断は温暖化防止に至高の価値を置く環境原理主義というべきものである。経済、雇用、エネルギー安全保障とのバランスをとりながら温暖化対策を進めねばならない政府と異なり、結果責任を負うことなく、単一の価値観にもとづいて物事を処断するのだからお気楽なものである。
震災後の日本が石炭火力を使い続けなければならない理由は原発の再稼動がなかなか進まず、再エネ導入のためのFIT賦課金負担が拡大する中でエネルギーコストの上昇を抑える必要があるためだ。
エネルギー安全保障、温暖化防止、エネルギーコスト抑制を同時に達成するためには原子力の再稼動が最も費用対効果が高いことは明らかであるにもかかわらず、彼らは再稼動にも反対する。
「日本は孤立している、日本は批判されている」という記事ばかりがCOP期間中に紙面やテレビをにぎわすのは筆者が交渉官をやっていた頃から全く変わっていない。
更に化石賞の選定基準も恣意的である。米国、豪州、日本等、EU以外の先進国及び産油国が受賞することが多く、その他の途上国はめったに受賞しない。今回、ブラジルが受賞したのは温暖化対策に懐疑的なボルソナーロ政権が誕生したからだろう。
環境NGOが糾弾する石炭の最大の消費国も石炭火力輸出を最も推進しているのも中国である。しかも中国の石炭火力輸出の中には燃焼効率の悪い亜臨界技術が相当部分含まれている。にもかかわらず中国が化石賞を受賞したことは筆者の記憶する限り一度もない。このようなダブルスタンダードがまかり通る賞の正当性には大きな疑問がある。
(アゴラ 有馬純 東京大学公共政策大学院教授)
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