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世界主要国の 監視機構と罰則抜粋14

14.中華民国(台灣)

 

1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について

 報道内容に関し2006年改定の贋播電視法に非常に細かい規定がある。

 ラジオ・テレビの番組は、1.ニュースと政府広報、2.教育と文化、3.公共サービス、4.大衆娯楽の4つに分類されており(第16条)、これらのうち1~3の内容がラジオ局で45%、テレビ局は50%以上を占める必要があり、大衆娯楽番組で、あっても、中国文化の促進と、倫理観、民主主義、及び科学・教育的内容が優先される(第17条)。第四条で放送の70%は台湾で製作された番組である必要性を定めているほか、外国語番組は必ず中国語の字幕と中国語ナレーションの必要が定められ、第21条で国益や民族的尊厳を損ねるもの、国家政策に反するもの、犯罪の誘発、子供に害のあるもの、公序良俗や社会慣習に悪影響があるものと共に、噂や虚偽の情報等が禁止されている。また、第23条で関与当事者により放送内容が誤っているとみなされる場合は15日以内の訂正の請求と、告発受領後7日以内に番組で内容の修正を行う必要を定め、更に誤情報により当事者の権利及び利益が損なわれた場合は、民事または刑事責任を負うことが明記されている。また、放送事業者は権利の侵害等に対する外部からの指摘や返信要求等の拒絶は認められない(第

24条)。

 第26条により番組の内容に合わせた視聴年齢制限が課せられ、事業者は所轄官庁の年齢制限に合わせて番組提供を行う必要がある。

 なお、ケーブルテレビにおいては、番組の年齢視聴制限はMODチップによるパスワード保護方式(有線電視機上盒親子鎖使用方式)が執られており、提供事業者により操作が対応状況が異なるものの、年齢制限が掛けられた番組は基本的にべアレンタルコントロール(親子鎖)のパスワード解除がなされない限り視聴ができないように設定されている。

 広告は、第31条の規定により、総放送時間の15%を超えてはならず、ニュースや政府広報番組における広告が禁止されており、また番組途中の広告が禁止(広告は番組の前後のみ可)されている。第35条で番組前後に番組スポンサーの公表義務等が規定されている。

 廣播電視法には、放送事業者に対する規定や規制、禁止事項や罰則だけれはなく、奨励事項や報酬等についての定めがあるのが特徴で、第36条で、国家政策の推進や、中国の文化振興、文化交流、教育、ラジオ・テレビ技術に対する著しい貢献、受信困難地域に対する放送提供の貢献等に対し報酬を与える規定が用意されている。

 放送事業者に対する罰則規定は第41条にあり、違反の軽重に応じ、国家通訊傳播委員曾(National Communications Commission  NCC) により警告、罰金、放送中断、放送免許失効の4段階の処置が執られる。また第42条~49条で違反内容の詳細とその罰則について明記されており、様々な違反に対し最大二千万元(約7400万円)の罰金が科せられ、それらの処置や指導に従わない場合や、改善が見られない場合、違反が繰り返される場合、或いは違反内容そのものが罰金以上の処罰に該当する場合は放送中断や放送免許失効となる

 なお、2015年は廣播電視法違反により報道機関に対し総計4,993,000元(約1800万円)、2014年度は10,405,000元(約3800万円)の罰金が科せられている。

 

 慶播電視法の全文は以下のWebサイトを参照

 https://www.ncc.gov.tw/chinese/files/16010/185_2480_160301_2.pdf

 

 国家通訊傳播委員曾(NCC) により実際に行われた制裁の統計資料は以下のWebサイトを参照

 https://www.ncc.gov.tw/chinese/news.aspx?site_content_sn=3879&is_history=0

 

 映像や音楽等の罰金の詳細については以下のWebサイトを参照

 http://www.moc.gov.tw/information_319_20903.html

 

 年齢視聴制限とベアレンタルコントロールの実施状況と具体的な操作等については以下のWebサイトを参照

 https://www.ncc.gov.tw/chinese/news.aspx?site_content_sn=3918&is_history=0

  

 

2. 監査機関と管理体制について

・國家通訊傳播委員會(NCC)

通信放送分野全体の政策の制定や、法令の制定も含め統括的な規制や罰則の適用も含む監督全般を行う独立政府機関。エネルギー全般、情報誌や貝の発展、産業の振興、市場及び消費者保護を行っている。

・文化省(MOC)

芸術・文化面に関する振興と指導等については文化省(MOC)により行われる。

外国向けの広報サイトは、原語のWebサイトと内容が著しく異なるので注意。

 

参考資料:台湾 通信レポート(総務省)

 http://www.soumu.go.jp/g-ict/country/taiwan/pdf/886.pdf

 

 

3. 外資規制等について

 慶播電視法施行細則により、地上波テレビ放送及びラジオ放送の事業者の株式の外国人保有は認められていない。また、有線慶播電視法(ケーブルテレビ法)第9条の規定により、外国人は直接投資及び間接投資を合わせ、ラジオ事業及びテレビ事業を行う事業者の発行株式総数の60%未満の保有のみが認められ、衛星放送事業では発行株式総数の50%未満の所有が認められる。

 

 慶播電視法施行細則の全文は以下のWebサイトを参照

 http://www.moc.gov.tw/information_312_20367.html

 

 2006年改定慶播電視法の該当箇所は以下のWebサイトを参照

 http://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?PCode= P0050008

 

(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)

世界主要国の公共放送を中心とした監視機構と罰則抜粋 15