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世界主要国の 監視機構と罰則抜粋15

15.マレーシア

 

1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について

 通信マルチメディア法(CMA'98)第212条を根拠に設立されたコンテンツ自主規制団体であるマレーシア通信&マルチメディアコンテンツ協会(The Communications and Multimedia Content Forum ofMalaysia CMCF)により、放送を含む広くマルチメディアコンテンツの詳細について定められたコンテンツコード(CMCFコンテンツコード)が用意されており、この中に報道内容に関する詳細な規定が存在している。マレーシア通信&マルチメディアコンテンツ協会は、広告主や放送事業者、サービスプロパイダ一、アーテイスト、市民団体等で構成される任意団体であるが、政府機関であるマレーシア通信・マルチメディア委員会(Suruhanjaya Komunikasi dan Multimedia Malaysia (Malaysian Communications and Multimedia Commission) MCMC)にCMCFコンテンツコードも含め承認されており、コンプライアンス部門を持ち広く市民等からの苦情や違反等の申し立てを受け付け、仲裁や判決等の処理の権限を有している

 CMCMコンテンツコードは、通信マルチメディア法(CMA'98)第211条に定められている、コンテンツ要件(卑猥、猥雑、虚偽、脅迫、攻撃的、虐待等の禁止等)に対し、より広く細かく規定しており、そのレベルに応じて視聴可能な年齢や、放送時間等の配慮、がなされているほか、ニュース番組及び時事番組等の内容の正確性や公正さに配慮をする必要性や、文化的相違等についても配慮する必要がある。また、イスラーム教を国教とし、他の宗教の自由に対する憲法上の権利を順守することと共に、イスラーム教の宗教的な番組に関しては宗教当局の承認を受ける必要がある。なお、宗教の自由は憲法では保障されているが、放送によるイスラーム教以外の宗教の伝播は認められていない。同第211条2に罰則規定が定められており、違反者が有罪判決を受けた場合、1年未満の懲役または50,000RM未満(約140万円)の罰金、またはその双方が科せられる。

 規制は、コンテンツだけにとどまらず、広告についても人種、宗教等への配慮や、煙草、アルコール、賭博、性的シーン、オカルト、豚及び豚由来製品(イスラム教の禁忌)、公序良俗を乱す恐れのあるもの等が禁止されている。

 

 通信マルチメディア法(CMA'98) の全文は以下のWebサイトを参照

 https://www.mcmc.gov.my/skmmgovmy/files/attachments/SA_CELCOM_09May08.pdf

 

 マレーシア通信&マルチメディアコンテンツ協会(TheCommunications and Multimedia Content Forum of Malaysia CMCF)のCMCFコンテンツコードの全文は以下のWebサイトを参照

 http://www.cmcf.my/download/cmcf-content-code-english.pdf

  

 

2. 監査機関と管理体制について

・マレーシア通信・マルチメディア委員会(MCMC)

通信マルチメディア省(KKMM)が策定した電気通信政策の一部、電気通信・放送・オンラインサービス・郵便等の分野の規制を行う独立機関。インターネットを含む電気通信全般とマルチメディア産業の公正な競争の促進と産業振興、及び規約等の策定、周波数割当とライセンス交付、消費者保護等の広くメディア産業の振興と規制を行う。

 

・マレーシア通信&マルチメディアコンテンツ協会(CMCF) 

コンテンツの作成規範と違反に対する指導と摘発等を行う自主規制機関。

 

参考資料:マレーシア 通信レポート(総務省)

 http://www.soumu.go.jp/g-ict/country/malaysia/pdf/060.pdf

 

 3. 外資規制等について

 通信マルチメディア法(CMA'98)により、放送事業者に対する外国の投資額は30%が上限とされているほか、外国企業(個人を含む)には放送ライセンスが下りない等の制限がある。

 

(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)

世界主要国の公共放送を中心とした監視機構と罰則抜粋 16