7. ドイツ
1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について
電気通信は連邦が管理するが、放送は共同で監督機関を設けているベルリン州及びプランデンブルク州、ハンブりレク州及びシュレースピヒホルシュタイン州は共で同メディア監察機関(Landesmedienanstalt)を運営し、残り12州はそれぞれ週ごとにメディア監察機関を備えており、合計14の監視組織により監視が行われ、放送に関する許認可の他に技術支援と番組や広告等の内容に関する規制監督が行われている。また、放送法もそれぞれの州で独自のものが存在するが、それらを統合するため連携した州メディア監察機関連盟(DieMedienanstalten ALM)があり、規制監督基準については全国共通の指針が定められ、州域放送についてもそれらが適用される。また、全国放送についてはメディア集中調査委員会(Kommissionzur Ermittlung der Konzentration im Medienbereich KEK)の認可が必要となる。
放送内容等については放送州間協定及び各州法により規制されており、これらに対し違反が繰り返される場合は、放送認可(免許)の停止や取り消し、及び放送一時停止措置がとられるほか、秩序違反法が準用される場合は最大で50万EURの罰金が科される。
また、各放送局には数か月分の番組保管義務があり、監察機関には情報請求権が定められており、放送局は求めに応じていつでも放送内容を開示する義務を有する。
これらの処置の基準となるのは、放送とメディアに関する州間協定(Interstate Treaty on Broadcasting and Telemedia RStV)と、州公共放送法(ドイツ公共放送連盟(Arbeitsgemein -schaft der offentlich-rechtlichen Rundfunkanstalten der Bundesrepublik Deutschland ARD)及び第二ドイツテレビジョン協会(Zweites Deutsches Fernsehen ZDF)に関する協定(ARD/ZDFに関する州間協定)及び州商業放送法であり、人種的憎悪、非人間的暴力行為、人間の尊厳の侵害、戦争賛美、狼襲表現、青少年の心身の発達や道徳に悪影響を及ぼす放送等を禁止している。但し、青少年関連の禁止事項については、放送時間帯により若干緩和される。
ARD第一放送及びZDF(いずれも公共放送)に関しては、1日20分までの広告が認められているが、ニュース及び政治的時事番組でのスポンサードは認められないほか、政治団体・宗教団体のスポンサードは禁止、更にスポンサー付の番組は冒頭と終了時に資金提供元を明示する必要がある。
RStVの詳細に関しては下記のWebサイトを参照
2. 監査機関と管理体制について
・ ドイツ連邦ネットワーク省 (BNetzA)
電気・ガス等のエネルギー全般及び水道・郵便・鉄道・通信等の社会インフラ全般を総括的に管理する政府機関。電気通信に於いては、技術・法律・経済等様々な面での支援と管理を行う。
・メディア集中委員会(KEK)
ドイツは州ごとの独立性が高いため、報道機関に対しそれぞれの州独自の監督が行われているほか、メディア集中委員会(KEK) により統合的な監督が行われている。多様性の確保と維持を目的とし、集中排除規制に従い報道機関等に対し各種規制と監督指導を行う。
・欧州経済地域(European Economic Area EEA) 協定の放送指令に基づく規制
EU加盟28ヶ国及びスイスを除く欧州自由貿易連合(European Free Trade Association EFTA) 加盟国は、放送事業者も放送・視聴覚サービス法第2条9の規定により欧州経済地域(EEA) 協定の放送指令に基づく規制を遵守する義務を有する。欧州経済地域(EEA) による規制は、国内法や国内規制等により妨げられない。
参考資料:ドイツ 通信レポート(総務省)
http://www.soumu.go.jp/g-ict/country/germany/pdf/049.pdf
参考資料:ドイツ放送州間協定(国立国会図書館)
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11100068_po_02760002.pdf?contentNo=1
参考資料:ドイツ州メディア監督機関 (NHK)
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2010_11/101104.pdf
(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)
世界主要国の公共放送を中心とした監視機構と罰則抜粋 8
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