1.アメリカ合衆国
1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について
1934年通信法により放送に対する検閲は禁止されており、また合衆国憲法修正第1条の規定により、放送内容や情報収集、編集、告知等の関与を原則として行うことができないため、報道の内容に関する監督範囲は限定的である。
しかし、事業者間の調停や罰金等の制裁、規則の制定や実施等の権限を持つ連邦通信委員会(FCC)が、合衆国憲法修正第1号の言論・報道の自由に対し、1934年通信法を根拠に特に中傷、プライバシーの暴露、捏造、わいせつ等についての規定を定めている。具体的には、子供が視聴する可能性がある番組での不適切な言葉の使用、特定の宝くじに関する情報の放送、虚偽情報に基づく集金活動のための放送等に対し、放送免許事業者に対し罰金(2005年放送品位維持法(Broadcast Decency Enforcement Act of 2005)により最高50万USD)、または放送免許の取消が行われる。
虚偽情報に対して明確に禁止されているのは、前記の集金活動と、FCC規則第73.1217条に示されている犯罪または大災害に関する虚偽情報の放送禁止のみである。なお、これらの規制には、放送局とケーブルテレビ等では異なる規制基準が適用されている。
また、選挙に関しては立候補者に対し平等に放送の機会を提供する義務と、放送局が立候補者に対する政治的見解を提示した場合はその旨を立候補者に24時間以内の通知を行うと共に、立候補者または代理人に対し放送の機会を提供する義務がある。
地上放送の広告に関しては、番組の広告主の明示、虚偽や誤解を招く広告の禁止、タバコ類の広告の禁止(連邦法による規定)のほか、政治広告の料金情報の開示の義務付け等がある。
2. 監査機関と管理体制について
・監査機関等
米国における通信分野及び放送分野の規律は、連邦法及び州法、並びに関連判例によってなされている。
・連邦レベル
・連邦通信委員会(Federal Communications Commission FCC)
1934年通信法(1996年電気通信法により改正)に基づき通信・放送分野を掌握する。電気通信に関する料金や制度の審理・設定・事業許可等の管理及び連邦政府用を除く周波数管理、無線局の免許及び規制を行う。電気通信・放送分野における規則制定と行政処分を実施する権限を有し、本件に係わる係争者に対し裁定の権限を持つなど司法基幹的性質も併せ持っている。
・商務省国家電気通信情報庁(National Telecommunications and Information Administration NTIA)
大統領の主要諮問機関として情報通信政策への助言と連邦政府用無線局免許及び周波数管理を行う。
・連邦取引委員会(Federal Trade Commission FTC)
競争促進政策の推進、消費者保護政策を掌握する。
・その他、国際的な調整等
・国務省(Department of State DOS)及び米国通商代表部(Office of the U.S. Trade Representative USTR)が行う。
参考資料:アメリカ合衆国 通信レポート(総務省)
http://www.soumu.go.jp/g-ict/country/america/pdf/001.pdf
参考資料:アメリカ合衆国 連邦通信委員会(NHK)
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2010_08/100802.pdf
3. 外資規制等について
外資規制については米国の放送局に対し25%以上外資が出資する場合は個別に審査する(通信法第310条規定)ことになっていたが、2015年以降は公益審査及び省庁間審査機関による安全保障審査で問題ないと判断された場合は放送局の親会社の最大100%の所有が可能となり、また、経営に関与しない外国資本については49.99%までの資本率引き上げが可能となり、更に外国資本の被支配持分については5%までは連邦通信委員会(FCC)の認可が不要である。
(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)
世界主要国の公共放送を中心とした監視機構と罰則抜粋 2
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