9. 南アフリカ
1.報道内容に対する監視機構と罰則規定等について
南アフリカ憲法第16条に表現の自由が明記されており、更に1項で報道その他メディアの自由が明記されている(Section16-1-a)。2005年電気通信法(Electronic Communications Act,2005)には、特定の状況を除き政治広告の禁止(第56条)が明記されている。
また、放送番組の国内制作比率の規定があり、テレビ放送では公共放送の55%以上が国内制作、商業放送の35%以上が国内制作である必要があり、ラジオ放送では公共放送の40%以上が国内制作、商業放送の25%以上が国内制作である必要がある。
なお、実際の規制等は、通信・放送及び郵便の規制機関である、南アフリカ独立通信庁(Independent Communications Authority of South Africa ICASA) によって実施される。
南アフリカ憲法は下記のWebサイトを参照
https://www.gov.za/documents/constitution/constitution-republic-south-africa-1996-1
2. クロスメディアオーナーシップ等の報道機関の一定地域における情報提供の占有や支配に関する各種規制について
2005年電子通信法のメディア規制第66条により市場占有率や新聞の地域流通率により様々な出資制限が設けられている。概略を以下に示す。
・個人または法人が所有、或いは支配権の行使が可能な商業テレビ放送事業は単一に限られる。
・個人または法人が所有、或いは支配権の行使が可能な商業ラジオ放送事業は2つまでに限定される。
・国内市場で20%以上のシェアを占める新聞社は、任意の放送事業者の放送地域と当該新聞の流通地域が50%以上重複している場合、その放送事業者への出資が制限される。
・外資規制について
電子通信法のメディア規制により、商業放送事業者に対する外資比率は20%を上限とすることが定められている。
なお、クロスメディアオーナーシップや外資規制とは別に、2005年電子通信法には、通信事業者は株式の30%以上は「歴史的被差別民族の出身者」が所有しなければならないとする義務が定められている。
2005年電子通信法の全文は下記のWebサイトを参照
http://www.wipo.int/edocs/lexdocs/laws/en/za/za082en.pdf
3. 電波オークション制度について
南アフリカ独立通信庁(ICASA) により、2010年に800MHz帯及び2.6GHz帯のオークションが行われたが、条件その他様々な要因がかみ合わず失敗に終わった。また、その後も2.6GHz帯及び3.5GHz帯のオークション、更にもう一度800MHz帯、2.6GHz帯、3.5GHz帯のオークションが行われたがいずれも不調に終わり、最終のオークションは2017年2月にキャンセルされた。
4. 電波使用料等について
周波数利用料(Radio Frequency Spectrum Licence Fees)は、南アフリカ独立通信庁(ICASA)により周波数帯域と、帯域幅、輯鞍、地理的要因、利用状況等により算定される。
・2012年度実績
陸上無線:19,265,543ZAR (約1億5000万円)
アマチュア無線:634,680ZAR (約500万円)
航空無線:922,200ZAR (約740万円)
海上無線:494,880ZAR (約400万円)
携帯電話・データ通信:145,800,000ZAR (約11億7000万円)
固定無線:1,248,117,121ZAR (約100億円)
衛星無線:5,538,879ZAR (約4400万円)
無線ディーラー:578,040ZAR (約460万円)
5. その他資料等
・監査機関等
電気通信・郵政サービス省(Department of Telecommunications & Postal Services DTPS)により情報及び電気通信、郵便等とICT戦略全般の戦略の策定が行われ、南アフリカ独立通信庁(ICASA) によりそれら電気通信及び放送局等の規制と免許管理、および郵便部門の規制等と、周波数管理等が行われている。
(※リンク先が調査時(2017~2018年)から変更になっている場合は、各機関のHPルートに接続します)
世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 18
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