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1 .各国の電波使用状況及び管理状況について

 世界のいずれの国に於いても、それぞれの国に於ける電波監理はその国の政府行政機関及びそれに付随する独立行政機関等により執り行われている。また、電波使用状況はそれぞれの国の地理的要因や、経済・民族・文化的状況、統治状況や国際関係等の事情を反映し、それら諸事情に対応するために様々な方法で管理運営されている。

 これらのことから電波使用状況と管理状況は各国諸事情により大きく異なるが、概ね以下に示すような幾つかの団体により権限や業務が分割され管理されている。

 

・電波帯域の使用状況そのものを管理する団体

 ・電波帯域を割り当てる許認可団体等

 ・電波帯域の使用状況を検査・監督・確認等を行う団体等

 ・電波帯域の有効利用ため様々な技術開発促進と問題解決を行う団体等

・電波を利用し提供されるコンテンツの使用状況の確認や調整を行う団体

 ・著作権保護や個人情報保護等を行う団体等

 ・放送やコンテンツの内容について検査・管理・規制等を行う団等体

 

 また、コンテンツの内容についての検査等を行うメディア管理機関等の管理・規制団体については、従来の管理団体はその対象が放送及び出版、即ち既存のメディアに対するものが主体であり、いずれも発信されたコンテンツの保全が容易であるため管理業務が比較的容易であったのに対し、個人も含む不特定多数によるインターネット経由の音声・動画等の配信の増大と、これに伴うフェイクニュースやSNS等による諸問題の増大により、情報の統制や管理等の対処が困難な状況にある国が増えつつあるのが現状である。

 それら諸問題に対し統括的対処を行うために従来のメディア管理機関を整理更新し、出版・放送・通信を含むメディア全体を包括的に扱い管理・規制を行う国が増えつつある。しかし、メディア規制は一般的に憲法で保障されている国民の知る権利等の侵害の可能性がある繊細な問題であるため、管理団体の運営には様々な配慮と工夫が必要となる。特に、これまでの情報の収集と検証が容易な比較的チャンネル数の少ない電波放送及び双方向性の無いIP配信等の、従来からの同時性のある広域メディアサービス等のリニアサービスから、ユーザーが望むタイミングでメディアを享受可能な多チャンネル化の進んだ、ノンリニアサービス及び様々なメディアを用いたWebサイトによる情報発信が台頭してきており、特に、容易に公表内容や発信内容の変更が可能なノンリニアサービスやその他Webサイトによる情報発信については情報発信元の多様さと発信元及び発信内容の動的な変化のためその管理は難しい。

 それぞれに対し様々な規定を設け情報発信に対する一定の規制を行うだけではなく、電波を利用した放送局に対し電波使用料や放送免許等によりその管理費用を一部分担させている事と同様に、インターネット等を用いた様々な情報提供業者に対してもその情報の統括的な管理を行う政府系組織の経費の一部負担を課すケースが増えている。

 

 なお、電波の管理機構や法令は一般公共放送だけではなく、インターネット等も含めた広く電気通信等で一元管理されている事も多く、電波オークション等についても一般公共放送とそれ以外の電気通信等を区別せず一元管理されている状況であるため、本調査に於いては監督機関や法令等については関連性が極めて乏しいものを除き、通信・放送の双方の内容についての記載を行っている。

 

世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 2