前世紀末から現在までの数十年で、情報通信技術は飛躍的な発展を遂げた。
インターネットも初期のダイアルアップ接続から常時接続へ、更にナローバンドからブロードバンドへと移行し、先進国を中心に各家庭がブロードバンドのインターネットで接続されつつある。また、携帯移動通信端末も期初の通話のみ可能なアナログ通信端末から、より使用電波帯域が少ないディジタル通信端末へと移行し、そのディジタル通信端末もより高度な情報圧縮技術とより高い周波数帯域の利用等により大量の情報の送受が可能なシステムへと移行、更にはスマートフォンの普及以降携帯移動通信端末の通信量は飛躍的に増大した。
今日では、インターネットで提供される多くのサービスが一定以上の通信速度で常時接続されていることを前提としており、その状況は携帯移動通信端末に於いても何ら変わることは無い。これらのことから、携帯移動通信端末によって用いられる通信量は年を追うごとに増大を続けている。この事態に対し様々なデータ圧縮技術や電気通信技術を駆使し技術的な解決を試みているものの、通信量の増大はそれらを凌駕する勢いが続いており、高周波数帯に移行しつつある状況に於いても電波帯域の利用状況は飽和しつつある。
電波帯域は有限であり既に逼迫した状況にある現在において、その有効活用は我が国だけではなく諸外国を含め喫緊の課題である。そのため、多くの国で通信技術の発達により可能となったテレビジョン放送等の広帯域アナログ伝送を、データ量を増やしつつも狭帯域で高圧縮率かつ高周波数帯のディジタル伝送への変更が進められ、それに伴う空き周波数帯を含めた各周波数帯の整理と再配分が進められており、電波帯域のより効率的な使用状況に移行しつつある。特に移動通信端末による高周波数帯の高度利用計画においては、競争原理が強く働くことでより電波帯域が有効に活用され、かつ多額の収益が期待できる電波オークション制度を導入する国が多い。電波オークションに於いては様々なカバレッジ義務やその達成期限が設定されている条件付きオークションである場合も少なくなく、それらの条件により当該国の経済状況等の理由によりその実現が難しいため結果として未落札が出る場合もあるものの、多くの国では電波オークションにより多額の資金を調達し、それらが電波管理運営費用や技術振興費用に充当され、より高度で効率的な電波帯域の利用に寄与することとなっている。
世界主要国の通信放送等に関する調査報告書 1
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