朝日新聞「安倍首相『獣医学部は良いね』愛媛県真文書に記録」

■ニュースメディア

朝日新聞

 

■ニュースタイトル

「安倍首相『獣医学部は良いね』愛媛県真文書に記録」

 

■ニュース掲載・報道日

2018年5月21日

 

■フェイク理由・ソースURL・その他

公開された文書の2の②「県においても、官邸への政治的な働きかけを非公式で実施いただけないかとに要望があったが、政治的な動きは難しい旨回答」と明記されている。出されたアイディアに相づちを打つことさえ印象操作で悪いことのように見せようとするフェイクニュース。

 

 

■記事内容

---------------- 朝日新聞  2018.5.21 

安倍首相「獣医学部は良いね」 愛媛県真文書に記録

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設をめぐり、2015年2月に学園の加計孝太郎理事長が安倍晋三首相と面会した、と学園側から報告を受けたとする内容を、愛媛県職員が文書に記録していたことがわかった。加計氏が学部新設を目指すことを説明し、首相が「新しい獣医大学の考えはいいね」と応じたとの報告内容も記されている。愛媛県は21日、この文書を含む関連の文書計27枚を参院予算委員会に提出した。

 

 これまで安倍首相は、加計氏について「私の地位を利用して何かをなし遂げようとしたことは一度もなく、獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ない」と答弁している。また、学園の学部新設計画を知ったのは、国家戦略特区諮問会議で学園が学部設置の事業者に決まった17年1月20日、とも説明していた。15年2月の段階で加計氏が話をしたとする文書の内容と、安倍首相の説明は矛盾しており、あらためて説明を求められそうだ。

 

 首相の発言が記録されている愛媛県の文書は「報告 獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者との打合せ会等について」との題名で、「27.3.」と書かれている。15年3月に作成されたとみられる。

 文書では、学園側の報告として「2/25に理事長が首相と面談(15分程度)」し、加計氏が首相に「今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明」と記載。「首相からは『そういう新しい獣医大学の考えはいいね』とのコメントあり」と記されていた。

 

 別の文書には、今治市からの報告として、加計氏が安倍首相と会う前の15年2月に、学園側が加藤勝信・元内閣官房副長官(現・厚生労働相)と面会した、との記述もあった。獣医師養成系大学の設置は「厳しい状況にある」とし、学園の動向として、国家戦略特区で獣医学部新設を目指す新潟市への危機感から「理事長が安倍総理と面談する動きもある」と書かれていた。

----------------  引用終わり

■検証記事

---------------- 井戸端会議・瓦版 2018.5.22

NHK、「加計・獣医学部の『申請』を知った時期」を混同して安倍首相を批判する

 

・ 事実

1:安倍首相が「2017年1月20日に知った」と答弁した理由

 安倍首相が「平成29年(2017年)1月20日に知った」と答弁を行ったのは平成29年7月24日に行われた衆院予算委員会でです。

 大串博志議員が「加計の(3度目の国家戦略特区)申請を知ったのはいつか」と質問したのです。回答として、極めて当然で真っ当なものと言えるでしょう。

 なぜなら、獣医学部の運営者になることを希望する加計学園が『申請』を行うには「獣医学部新設の許可を受けた自治体」が存在することが大前提です。そのため、国家戦略特区の諮問会議から総理に報告が上がるまで知りようのないことなのです。

 

2:愛媛県・今治市と加計学園の関係

 愛媛県と今治市は獣医学部を新設することが悲願でした。ところが、運営者にあたる大学法人からは見向きもされず、加計学園だけが賛同してくれたという状況です。

今治市が国家戦略特区に3度目の申請(2015年6月)

 → 過去に構造改革特区で10回以上申請も実らず

国家戦略特区で獣医学部新設が容認(2017年1月20日)

 獣医学部が「1校のみ新設可」となったのは獣医師会の “働きかけ” によるものです。また、「是が非でも獣医学部を新設したい」という学校法人があれば、今治市に加計学園を上回る内容を提示していれば運営者になれたのです。

 「加計学園が獣医学部新設を主導した」のではないですし、獣医学部の運営候補に新しい学校法人が加えられる可能性もあったのです。メディアが報じる内容に注意する必要があると言えるでしょう。

--------------  引用終わり

ちなみに、各新聞の報じ方

----------------- BuzzFeed News 2018.5.22

安倍首相「獣医学部いいね」

加計問題の新文書、新聞の報じ方はこんなに違う

 

朝日新聞【新文書 浮かぶ官邸主導】

朝日新聞は1面トップで大きく展開。「国会関係者」から独自に入手したという文書の写真とともに、経緯を事細かに説明。

2面では丸一面を使って新文書を詳細に分析。柳瀬唯夫・元首相秘書官の記載にも触れながら、「首相を含む首相官邸幹部らが早い段階から何度も学園側とやり取りを重ねていた経緯が読み取れる」とした。

首相答弁との矛盾があることについては、1面と2面で見出しを立て、「あらためて説明を求められそうだ」などと言及している。

記者の解説記事では「国会は今後、その内容に基づいて政府側の説明との矛盾や、事実関係について究明する責任がある」などと厳しく指摘したほか、社会面ではほぼ全面を使い、新文書の要旨も掲載した。

 

読売新聞【首相説明と食い違い】

読売新聞も朝日より小ぶりではあるものの、1面で3段の見出しを立てた。

新文書が首相答弁と異なっていることについては「矛盾」という言葉を用いずに言及。ただ、「報道各社の首相動静の記事では、面会は報じられていない」などとしている。

一方、社会面では「文書の内容は首相のこれまでの説明と食い違っており、野党は追及姿勢を強めている」と触れたが、記事は3段とやはり朝日に比べ小ぶり。

国会の究明責任を求めたり、新文書のほかの内容を詳細に分析したりはせず、辻元清美・立憲民主党国会対策委員長と二階俊博・自民党幹事長のコメントを引くにとどめている。

 

毎日新聞【国会答弁揺らぐ】

1面トップ、写真2枚を使って報じた毎日新聞は朝日、読売両紙よりさらに強いトーンで、【「獣医学部「首相『いいね』」】との見出しを立てた。

文書の主な内容を表で紹介し、安倍首相のこれまでの答弁については、「事実と異なる答弁をしていた可能性がある」とまで言い切っている。

2〜3面「クローズアップ」では「首相 問われる『矛盾』」「答弁では再三否定」との見出しで、「政権は過去の答弁との『矛盾』を問われる深刻な事態に陥りかねない」と、危機を強調した。

新文書に書かれていたそのほかの内容も分析しているほか、要旨や各党の反応も掲載。社会面では中村時広・愛媛県知事の「1日も早く(疑惑を)クリアにしてほしい」というコメントも別原稿、3段見出しで掲載している。

 

産経新聞【「首相が説明するしかない」】

産経新聞もやはり1面で展開。朝日、毎日よりは小ぶりだが、読売よりは大きく「新文書のポイント」を表付きで掲載している。

野党が「首相答弁と矛盾するとして追及を強めている」としつつ、官邸での面談が確認できなかったことや、学園も事実を否定していることも前半で触れた。

一方、2面では「新文書で政府危機感」と大きな見出しを立て、「政府・与党内には再び危機感が広がった」とした。「文書には不明朗な点もあり、政府関係者『首相が説明するしかない』と語っている」などと紹介した。

そのうえで、文書に「会食の時期は書かれていないなど不可解な部分もある」などとその信頼性に疑問符を示し、「首相と愛媛県側の説明が求められる」と結んでいる。

 

日経新聞【首相の説明 焦点に】

日経新聞も1面で4段見出しを立て、比較的大きく報じている。新文書については「日本経済新聞が入手した」と強調した。

4面では、「安倍晋三首相がどう説明するかが焦点」と指摘し、「過去の首相答弁と矛盾する」と言及。各党の反応や中村知事のコメントを引いている。

一方、社会面では、「国会答弁と相違目立つ」との見出しで、新文書がどのような内容だったのかに言及しながら、柳瀬元秘書感の発言などを含め、政府説明との「食い違う」点を改めて振り返った。

全体的に淡々と事実を掲載しているなか、前文で唯一「何が真実なのか。矛盾がまた広がった」と強いトーンを見せていることが印象的だ。