第2部 (3).キー局

おさらい

 

地方局はスポンサー付きで番組を配給してもらい安定している。

自主制作の番組はほとんどなく番組制作能力は低いでした。 

番組の調達

 

 テレビ局は流す番組はどうしているのか?

・・・・

 映画の放映などのように「買ってきて流す」、

 自分たちで作る、

 下請けに作らせる

のいずれかになります。

 現在は、番組のほとんどは東京のキー局が制作しています。

番組制作の歴史

 

 放送局はもともと地域別に作られ、地方局の方が東京の局より早く開局したりしています。当初はラジオ局でした。昭和30年代、地方に民放テレビ局が開局するとテレビ番組の制作はテレビ局にとって大きな課題となりました。その時期、東京の局が自局の番組を熱心に売り込み、系列化を図ったのです。さらに、電通などの広告代理店が放映枠を買い取りスポンサーに売るなどの商売をして利益を上げました。昭和30年代の経済成長とテレビの普及、制限されたチャンネル数の中でその価値が上がり、大きな市場に成長しました。

・キー局とは

 

 放送局は放送できる地域が限定されています。違う地域の民放局はグループを組んでそれぞれの地域のニュースを交換します。これをネットワークあるいは放送系列といいます。このネットワークを使い同じ番組を流し擬似的に全国放送をします。このときに番組を制作した放送局をキー局といいます。ネットワーク番組のほとんどが東京のテレビ局で作られるので、東京の放送局を在京キー局あるいは単にキー局といいます。

 

準キー局

 

 

 大阪の局は昔から意欲が高く、全国放送枠もいくらか持っており準キー局と呼ばれます。自社制作の伝統もあるので、キー局制度が廃止された場合には、番組制作に励む可能性が高いと思います。さらに、名古屋の局も番組制作実績があり制作局としてやっていけると思います。

・下請け制度

 番組が自社制作だといっても、東京のキー局は下請けに出すだけです。

もちろん、自社制作の番組もありますがそのほとんどは番組制作会社に発注しています。プロデューサーとアナウンサーぐらいは出しますが、実際の制作は下請け会社です。これは、建設会社の大手ゼネコンと同じようなシステムです。この意味では、東京のキー局は番組制作会社というより番組制作管理会社といった方がいいかもしれません。

 

 

次回は、番組制作についてです。

・おまけ 放送局の思い出

 時は流れてバブルのころ、定年退職した父が下請けで番組やビデオを作る会社を作ったのですが、他の仕事についていた私も休日に呼び出され手伝わされました。

 

 バブルだった当時、地方局でも番組制作を下請けに出すようになっていました。スポンサーの気前がいいときだったので、放送局で流す分以外でも、企業や学校の紹介、社内教育や観光案内などのビデオ制作の依頼が、地方の放送局では捌ききれずに下請けに回ってきました。

 

 ちなみに、私がやったのはテロップ(字幕)の作成です。あの当時、テロップは活字を写真にプリントし専用の読み取り機で読み込んでビデオに取り込んでいました。写真を活字に焼いたものは1枚50円程度でしたが、その読み取り機は1千万円以上して、中小のポストプロダクション(番組制作会社)には手が出ませんでした。私が作業した時は知り合いの編集スタジオで、当時流行ったワークステーション(実はただのパソコン)にテロップエディター専用ソフトを入れたものを使いました。当時は画期的な商品でした。

 

 この仕事はバブル崩壊のあと徐々に縮小し、無くなって行きました。外に出すほどの仕事量ではなくなったのです。さらに東京の番組制作会社が安く仕事を請け負うようになり私が呼び出されることもなくなりました。

 

思い出話はこれで終わりです。