各ネットワークを組織する放送局(キー局)のうち、東京に存在するキー局(東京キー局,NHK は基幹放送局)のこと。
昭和13 年に国家総動員法(Wiki)が制定される以前には、地方にもキー局が存在して全国放送を行っていたが、現在では全国放送ネットワークのキー局は全て在京キー局になっている。
民放の在京キー局は、日本テレビ放送網,テレビ朝日,TBSテレビ,フジテレビジョン,テレビ東京の5局であり、これにNHK(日本放送協会)の基幹放送局を含めた6局のみがテレビ地上波による全国放送を行える。
1.昭和13 年の国家総動員法以前
NHK によるラジオ放送はAK( 東京発) とBK( 大阪発) があり、東京の他に大阪からも全国放送が行われていました。新聞各紙の全国版記事も、かっては国民新聞や時事新報が東京で、朝日新聞,毎日新聞や大阪新聞(現産経新聞)などが大阪で、それぞれ発行されていたのです。
2.「すべてを戦争に資するため」の大政翼賛と戦争に帰結する「国家総動員」の施策
昭和13 年の国家総動員法により、戦争経済に最適な共産主義化を推し進める革新官僚(Wiki)が統制経済を強化する一環で、言論機関についても東京単独ネット化を進めました。
地上波テレビ業界の在り方を束縛する「キー局システム」の歴史を遡さかのぼると、昭和15 年、大政翼賛会が成立する1940 年体制において実施されたメディア統制とNHK の内規改変にたどり着きます。
昭和15 年以降、全国放送は東京からのみ行うものとし、それまで全国放送を行っていた大阪放送局の配信範囲は、近畿と阿波地方などごく一部に限定されることが法制上、厳格に定められました。
新聞各紙の全国版記事も、この期の文部省思想局(「國體の本義」を編纂,刊行)の施策と法制化により、全国版の編集機能がすべて東京に集められることになりました。
これらの「在京キー局による言論統制」の設計者は大政翼賛会の創設者でもあった元朝日新聞記者の風見章で、トップは朝日新聞主筆の緒方竹虎でした。
3.テレビ地上波メディアに踏襲されるキー局システム
新聞,ラジオの在京キー局システムを、そのまま地上波テレビ放送にも流用した為、独裁国家や共産主義・全体主義国家にしか見られない「強固且つ堅固な『言論統制システム』」となったのです。戦後70年以上も経過した今もなお、この異常な「戦時言論統制」の業界構造がほとんど改められることのないまま続いているのです。
4.識者によるキー局制度の問題点の指摘
吉野次郎( 日経BP 記者)
「キー局はその系列ネットワークの力を背景にローカル局を支配している」
堺屋太一( 作家)
「日本のキー局制度が東京一極集中の要因の1 つになっている」( 国会における参考人答弁)
5.無力な政治家
テレビ局の既得権にメスを入れることになれば、マスコミは総出で潰しに掛かるでしょう。蓮舫がマスコミを使って無実の松岡利勝農水相を自殺に追い込んだように、あらぬ罪をでっち上げられて社会的に抹殺されることさえ予想されます。農協票など比べものにならないほどの敵勢力があらわれる恐怖を払いのけて、マスコミ報道によって選挙結果を左右される立場にある政治家が、この問題を追求するのはきわめて困難でしょう。
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