地方局はキー局から配信された番組を放送すると金銭報酬を「放送料」として受け取っています。
1.地方局に番組を回すことで、キー局は自分の製作した番組を全国で放送することができます。
このことが番組の価値を大きく高め、コマーシャル収入をぐっと押し上げるのです。
2.放送料は地方局の番組製作能力を萎縮させ、地方局をキー局が回す番組一辺倒に依存させています。
キー局としては地方局の離反を防ぎつつ、コマーシャルで高い収益を上げることが可能になるのです。
3.得られた収益で、キー局は地方局の電波を時間買いし、そこにコマーシャルを流しています。
地方局からするとキー局からの確実な収益が得られ、キー局はコマーシャルを流す時間を増やせるのです。
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日本総研より (水曜日, 05 12月 2018 16:41)
日本総研の記事が参考になると思います。
https://www.jri.co.jp/company/publicity/2006/detail/nextmove_03/
-------------- 日本総研
第3回「欧米に対抗できるメディア育成に必要な条件」
出典:日本経済新聞「NIKKEI NET」 2006年4月13日
前回に続き、放送業界が背負っている問題にもう少し立ち入っておこう。振り返ってみると、放送業界の歴史は自分たちの利権を守る歴史でもあった。1968年に郵政省(いまの総務省)が「1県1置局」に転換し、地上放送は原則県単位の免許制としてきたことを見ればわかる。特殊事情があるとはいえ、いまどき県域免許が必要な業種などあるだろうか。時代遅れもはなはだしい。
在京キー局を頂点とする特殊なピラミッド構造
放送には巨大な放送設備やアンテナが不可欠だ。また、電波の希少性ゆえに業界構造は、免許制を前提とした独占または寡占になっている。このため、テレビ局は日本テレビやTBSといった在京キー局(東京都に本社を置き関東広域圏を放送対象地域とする放送局)5社を頂点にし、全国127局がその下に従属するピラミッド構造になっている。
このネットワーク(系列)化の一因として「番組制作能力」が挙げられる。良い番組を作るための資金力、人材をテコにしたわが国特有の現象だ。それはテレビ放送の草創期に、映画業界からの理解が得られなかったことにさかのぼる。
米国では映画とテレビの両業界が競争しながら、ともに大きな産業に発展した。映画コンテンツはテレビ業界に不可欠だったし、映画業界もコンテンツ提供にビジネスチャンスを見出した。
これに対して日本では、5社協定に参加していた映画会社が既得権を守ることに執着。テレビ局の番組制作に協力しなかった。映画会社が花形スターであった専属俳優を占有したため、テレビ局は自助努力を強いられた。その結果、テレビ局は他業界には真似できない番組制作能力をもつことになり、その能力にたけたキー局を頂点したピラミッドが形成されたのだ。
骨抜きにされているローカル民放局
肥大化したキー局とは対照的に、ローカル民放局の存立基盤は脆弱(ぜいじゃく)だ。民放の全収入はおよそ2.3兆円。このうちローカル局は6,500億円程度に過ぎない。ここに94社がひしめいている。1社あたりの平均は70億円。独立した放送会社といっても、中小企業程度の規模だ。
経営ノウハウも財務基盤もないはずなのに、地方の放送会社は倒産をしたことがない。キー局がさまざまな方法でローカル局を支援しているからだ。たとえばキー局が支払うネット保証料(分配金)は、ローカル局の収入の25~30%を占める。キー局で作った番組をローカル局に売るなら、ローカル局がキー局に対価を支払うのが「普通の取引」だろう。ところが放送業界はその逆をやっているわけだ。キー局がネットワークを維持するためには、ローカル局が倒産しては困るからだ。これだけでも、放送業界のいびつな構造がわかる。